2021 年 41 巻 p. 286-295
目的:ICUの勤務帯リーダー看護師の臨床判断に基づく実践を明らかにすること.
方法:観察法と半構造化面接法を用い,ICUでの勤務帯リーダー経験が1年以上の者を対象とした.
結果:研究参加者は15名で,リーダー経験は平均4.5年であった.分析の結果,8つのカテゴリが抽出され,【患者情報獲得の必要性に応じた情報収集手段の見極めと駆使】,【治療・看護における不測の事態を想定した目配り】,【患者の危機状態の迅速な判断に基づいた危機管理体制の立ち上げ】,【患者の重症度と看護師の能力のバランスを評価して繰り返す看護チームの再編】,【患者に生じる問題の変化に応じた医療チーム全体への対策の主導】,【医療職間での共通認識の形成状況に応じたチームの協働の促進】,【治療・看護の提供状況の適切性の判断に基づく資源の差配】,【看護師の力量判断に基づく重症患者看護についての教育の提供】が明らかになった.
結論:ICUの勤務帯リーダー看護師の実践は,患者の生命維持から看護師の教育に関わるものまで多岐に渡っていた.