2021 年 41 巻 p. 537-545
目的:都市部の支援付き宿泊施設を利用する生活困窮者の入院退所の予測因子を明らかにすること.
方法:2012年4月~2015年3月の3年間に支援付き宿泊施設に新規に入所した315人を対象として,後ろ向きコホート研究を実施した.入所時の健康状態の項目を予測因子とし,1年間の追跡期間中の入院退所をイベントとしたCox回帰分析を行った.
結果:入院退所の予測因子は「がん」と「失禁等の排泄障害」であった.入所時に「がん」があった場合のハザード比は,4.41(95%信頼区間:1.86~10.43),「失禁等の排泄障害」があった場合のハザード比は,2.93(95% 信頼区間:1.31~6.56)であった.
結論:がんや排泄障害のある生活困窮者は,宿泊施設入所後に,地域生活に移行できずに入院退所となりやすいことが示唆された.宿泊施設の支援員と地域の医療職が協働して,入所時の健康面でのアセスメントを行い,地域生活の安定に向けた支援を提供する仕組みが必要である.