目的:がんのこどもと死別した母親が質的研究に参加する利益と負担を記述し,倫理的配慮を考察することを目的とした.
方法:こどもと死別した母親12名を対象とし,研究過程での対象者とのやりとりの記述,面接終了後に実施した質問紙調査結果をデータとし,研究参加の負担と利益の観点から分析した.
結果:研究参加による負担は,面接前の不安や溢れ出るわが子への思い,説明書の言葉への敏感な反応があり,面接前からケアとしての配慮を必要とした.一方,全員が研究参加はよい経験だったと評価し【心の内にしまっていた記憶の蓋をあけるきかっけ】,【改めて,死別したこどもに思いを馳せる時間】,【語ることによる生きる力の高まり】などの利益が抽出された.
結論:遺族研究は,適切な倫理的配慮により,対象に利益をもたらすケアとしての意味をもつ.研究者は臨床的センシティビティを高め,誠実に柔軟に対応することが倫理的な研究実践である.