抄録
レジデンスなさはらは強度行動障害のある方が生活している障害者グループホームである. 本編では,開設から 10 年の経過のなかで,さまざまな課題点に対しどのように対応してきたかを 紹介している. 当事業所の目的は強度行動障害のある方の「地域での豊かな暮らしの創造」である.特に開設時 や支援プロセスでの「環境整備」は,重要なポイントとなる.前半では開設前と環境整備後の効果 測定を紹介し,後半では環境整備によるコストパフォーマンス等も挙げて,利用者の状況に合わせ た柔軟な環境整備が重要であることを紹介した.
もう 1 つのポイントは「人材育成」である.運営上,非常勤職員主体の支援体制のなかで,人権意識を基本とすること,専門性の向上,対応の統一が必須となる.特に虐待リスクが高い支援環境であることから,組織的な体制整備が必要であることやメンタル面のサポート等,孤立を防止する体制整備が重要であり,対応やプロセスを紹介した. 今後の課題点としては,人材確保の問題やコロナ感染対策を挙げた.近年の人材確保は悩ましい問題であるが,離職防止等の取組みを紹介し,コロナ感染対策は実際に感染者が出た経験談を紹介した. 今後望まれることについて,利用者の高齢化が課題となってきており,豊かな老後を目指して支援の準備を今から進めていることや,意思決定,意思形成支援等,意思確認の重要性や,本人が望まれている暮らしをどう支援するかが求められることを紹介した. さいごに,強度行動障害のある方を対象としたグループホームを準備している方々にエールを送り,まとめとした.