災害情報
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要配慮者施設における風水害の実効的な避難確保計画の策定促進にむけた提案
宇田川 真之
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2019 年 17 巻 2 号 p. 201-211

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抄録

2017年6月の水防法および土砂災害防止法の改正に基づき、浸水想定区域および土砂災害警戒区域内の要配慮者施設では、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務化された。現状では策定率は2割程度に留まり、今後に全国の施設で避難確保計画の策定の推進が必要な状況である。本研究では、要配慮者施設において、実効性のある風水害の避難確保計画の策定促進に必要な知見を得ることを目的とした。そこで、要配慮者施設へのアンケート調査を行い、計画策定の阻害要因、望まれる支援対策、避難行動時の懸念点などを明らかにした。さらに、模範的な避難確保計画を策定後、さらに実際の災害対応にもとづく改善に着手している施設へのヒアリング調査を行った。これらの調査の結果、実効性の高い避難確保計画とするためには、利用者の自然災害からの安全性確保とともに、健康維持にも配慮する必要が高いことを明らかにし、施設向けの避難確保計画策定の手引書等に記載すべき留意点を提案した。

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© 2019 日本災害情報学会
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