抄録
本報告では、中小の製造業における情報技術の活用によって、設計工程を中心とした経営展開への移行を、「顔の見える競争」(伊藤元重・松井彰彦[1989],pp.46-48.)の概念、中小企業論、組織論によって論じる。本報告では、上記のことを論じるために、切削や造型に携わっている従業者数約30人以上の中小の製造業にアンケート調査を実行した。調査の結果、回答企業は、熟練技能を発揮できる切削工程よりも設計工程を軸とする経営展開を目指す傾向にあった。さらに、付加価値額の増加している回答企業は、内製比率を増加させる傾向にあった。このことから、回答企業は、いわゆるネットワーク構築によって内製比率を減少させるのではなく、内製比率を増減することによって、需要動向に柔軟に対応できる自律的な経営展開を目指す傾向にあるとわかった。