近年、日本では深刻な高齢化に伴い、公的機関が運営する介護老人福祉施設への待機者の増加が問題となっている。要介護者数に対する待機者数を都道府県別に比較すると、自治体によるばらつきが存在している。そこで、本研究では、待機者の少ない地域の特性を抽出し、介護老人福祉施設の待機者の減少を促す要因の解明を試みた。分析の結果、待機者数の少ない地域の特徴として、民間介護施設の充実、子供が近くに住んでいること、高齢者の金銭的余裕があることが挙げられた。また、民間介護施設の定員数を増加させる要因として、居宅介護事業者数、人件費の安さが影響していることが明らかになり、介護政策に関する有用な示唆を得た。