現代監査
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わが国中小企業の財務諸表に対する保証業務のあり方に関する一考察
〜特別目的の財務諸表に対する準拠性監査の導入を契機として〜
松﨑 堅太朗
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2015 年 2015 巻 25 号 p. 171-181

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抄録

わが国では,従来,中小企業に対する財務諸表監査は広く実施されてはこなかったが,監査基準の改訂により,新たに特別目的の財務諸表に対する準拠性監査の枠組みにより,任意監査として財務諸表監査を実施することが可能となった。一方,米国等では中小企業の決算書に対する信用力向上の方策として,非保証業務であるコンピレーションが広く活用されている。米国等を中心とした諸外国との制度比較を通じ,わが国中小企業の財務諸表に対する保証業務のあり方に関し,検討していきたい。

検討の結果,中小企業の属性や,財務諸表監査を適用することの実務的課題を考慮すれば,中小企業の決算書の信用力を向上させ,金融機関から円滑に資金調達を行ない,公認会計士が職業会計人として広く活用されていくためには,必ずしも合理的保証である財務諸表監査を求める必要はなく,米国等と同様,コンピレーションを中心とした非保証業務で十分であると考えられる。

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© 2015 日本監査研究学会
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