2017 年 19 巻 1 号 p. 89-97
メタボリックシンドローム(MetS)判定に関しては,従来法では,判別基準値がカットオフ値と同義語であり,これを少しでも超えれば「MetS 該当」として判定される.我々は,基準値と基準値を大きく離れた異常値との間に未病域を設定し,正常域,未病域,警戒域と 3 領域に分け,未病域が正常域からどれだけ離れるかに従って評価を加えることにより,現在の判定法が持つ判別精度を補強した.各年毎のファイルを経年順に整理しておけば,ファイルの数字を目で追う代わりに一つのマップ上で健康領域から不健康領域へ,またはその逆と言うようにマップ上の位置を視覚的に把握できるため,各個人の健康推移が鮮明に記憶に残るようになる.最近の研究では,人間ドック判定結果を,メタボリックシンドローム(MetS) 判定を含む6 領域に整理し,人間ドック全般の保健支援に役立つデータ判定ツール,Dr 人間ドックツール,を作成した.本報告では,Dr 人間ドックツールの概略をMetS データに特化して説明した.本ツールは個人データだけではなく,大量データをマップ上に散布し,一目でその集団がどの項目に偏った分布をしているかを目で見て分かるようにすると共に,集計機能を設け,定量的にも把握できるようにした.さらに,各マップ上の主要4 項目をレーダーチャートに表示し視覚的にも把握できるようにした.