日本醸造協会誌
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研究
マウスにおける清酒成分の生理的嗜好性及び血糖値に対する影響
人見 学伊豆 英恵眞鍋 康子高橋 圭橋口 知一堀井 幸江須藤 茂俊
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2011 年 106 巻 10 号 p. 675-686

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抄録

1.清酒に含まれる成分と生理的嗜好の関係を絶食条件下のマウスを用いて二瓶選択試験で調べた。
2.嗜好性の異なる純米酒を用い,嗜好性と各種清酒成分量(グルコース,アミノ酸,有機酸,香気成分)との順位相関解析及びCE-TOFMS による一斉成分分析によって,嗜好性の上昇及び低下に関与する成分を推定した。
3. 嗜好性を上昇させると推定した成分を純米酒に添加し,マウスによる二瓶選択試験でグルコース,リジン,ヒスチジンが嗜好性を上昇させることを示した。
4.リジン,ヒスチジンを単独で添加しても,嗜好性が変化しない清酒も存在し,単一成分の添加で清酒の嗜好を完全に説明するのは難しいことがわかった。
5.嗜好性を低下させると推定した成分を純米酒に添加し,マウスによる二瓶選択試験でグルタミン,オクタン酸,ピルビン酸,酢酸イソアミルが嗜好性を低下させることを示した。
6.高嗜好性純米酒摂取後のマウスは低嗜好性純米酒よりも有意に血糖値が高かった。また,低嗜好性純米酒へのリジン添加が血糖値を上昇させ,高嗜好性と血糖値上昇の関連が示唆された。

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© 2011 公益財団法人 日本醸造協会
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