日本醸造協会誌
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解説
清酒酵母のミトコンドリア活性・分解に制御される新たな代謝経路の解明とそれに基づいた醸造技術の開発
北垣 浩志
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2014 年 109 巻 5 号 p. 335-345

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抄録

ミトコンドリアは酵母などの真核生物がもつ細胞小器官であり,その主要な働きは酸素呼吸によるエネルギー生産である。このことから,清酒醸造のような酸素のほとんど存在しない醗酵においては,ミトコンドリアはなくてもよいものと思われていた。筆者は,ミトコンドリアのエネルギー生産以外の機能に着目し,清酒酵母の新たな代謝経路を明らかにし,さらに実用的な醸造技術の開発・技術移転にまで結びつけた。コロンブスの卵ともいえる画期的な研究成果について,研究の着想から,代謝経路の解析法の開発,ピルビン酸低減酵母の育種と実用化,ミトコンドリア分解に着目した新たな醸造技術の開発についてまで,詳しく解説していただいた。

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© 2014 公益財団法人 日本醸造協会
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