2014 年 109 巻 9 号 p. 651-656
酒類全体の需要が低迷する中にあって,好調な売れ行きを維持している梅酒を代表とするリキュール類には,柑橘を活用した商品も数多く存在する。しかし,柑橘特有の苦味や油臭さ,保存性などが問題とされている。本解説は,愛媛県の特産である柑橘の果皮をホワイトリカーに漬け込み,減圧蒸留を駆使することで柑橘特有の苦味と油臭さを低減させた。その一方で,柑橘の特徴香を最大限に生かす減圧蒸留条件を明らかにし,得られた蒸留酒を活用したリキュール開発を提案した研究事例である。