日本醸造協会誌
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麴菌菌種の違いが芋焼酎の香味形成に及ぼす影響(第1報)酵素活性と芋焼酎醪の差異
白石 洋平竹浦 澪奥津 果優吉﨑 由美子二神 泰基玉置 尚徳和久 豊髙峯 和則
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キーワード: 芋焼酎, 黄麴, 白麴, 黒麴,
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2021 年 116 巻 1 号 p. 39-48

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抄録

芋焼酎の製造に用いられている,黄麴,白麴,黒麴を用いて,麴以外はすべて同一条件で行い,芋焼酎における麴が違うことで生じる差異を検討した。 市販種麴を用いて作製した麴は,麴酸度は白麴および黒麴で高く,黄麴は非常に低い値であった。酵素活性ではAA活性は黄麴が白麴および黒麴と比較して非常に高い活性であったが,酸性条件下での液化に関与するAsAA活性は白麴および黒麴で黄麴の10倍の活性となった。白麴および黒麴ではBG活性,CEL活性,AP活性,LIP活性が黄麴よりも高い。白麴と黒麴の比較では,BG活性およびCEL活性以外の酵素活性は白麴が高い傾向を示した。 得られた麴を用いて小仕込みを行ったところ,各醪共に問題なく発酵が行われた。クエン酸生成能が高い白麴および黒麴醪のpHおよび醪酸度は黄麴醪と比べ,一次および二次醪共にpHは低く,酸度は高かった。黄麴醪では二次醪の初期に白麴および黒麴醪とは異なり,醪の流動性が低下した。黄麴は白麴および黒麴よりもAP活性およびCEL活性が低いことから,流動性に差異が生じ,醪のアルコール濃度も白麴および黒麴醪が高かった。また,AP活性の高い白麴および黒麴ではアミノ酸濃度は黄麴よりも高かった。一次醪末期の総アミノ酸濃度は黄麴醪が高く,二次醪末期では白麴および黒麴醪が高くなった。黄麴醪では一次醪から二次醪にかけて高級アルコール生成に関わるアミノ酸の減少が大きかった。醪中の有機酸は白麴および黒麴醪では麴由来のクエン酸濃度が高くなった。

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