日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
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116 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 平田 大
    2021 年 116 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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  • 宮崎 亮
    2021 年 116 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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    我々は,微生物たちの真の生態をどれほど正確に理解できているのであろうか。本記事を読むと,均一だと信じられてきたシングルコロニーや純粋培養の中に驚くほどの多様性が存在していることがわかる。また,そのメカニズムについてもわかりやすく説明していただいた。このような微生物の根幹的な性質は醸造微生物にも共通であると考えられ,その理解を深めることでより適切なコントロールのための方策も得られるようになるだろう。

  • 吉田 宗弘
    2021 年 116 巻 1 号 p. 9-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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    生物には有機物質だけでなく様々な無機物質が含まれており,その中には,必須ではあるが必要量が少ない微量ミネラルと呼ばれるものがある。本解説では,微量ミネラルにはどのようなものがあり,生体内でどのような機能を果たしているのか,また,それらの必要量はどのようにして決定されるのかを解説していただいた。併せて,食用の酵母に含まれる微量ミネラルについても紹介していただいた。

  • 安達 貴弘
    2021 年 116 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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    著者らは味噌由来の耐塩性乳酸菌株について,免疫系に作用がある菌株をスクリーニングし,B細胞(※1)にインターロイキン10(IL-10)やインターフェロンγ(IFN-γ)(※2)に加え,皮膚や腸管のバリア機能に必須なサイトカインIL-22(※3,4)の産生を強く誘導するTetragenococcus halophilus No.1(蔵華乳酸菌)を同定した。なお,B細胞がIL-22を産生することは,この研究で初めて発見された。マウスにこの乳酸菌を摂取させると,免疫グロブリンA(IgA)の産生が亢進し,また,免疫応答も亢進しており,免疫賦活作用があることが判明した。さらに著者らは,IL-22に着目し,食品由来の細菌についてスクリーニングを行い,味噌由来の乳酸菌Bacillus coagulans sc-09を高IL-22産生誘導菌株として同定した。この乳酸菌を摂取させたマウスでは,皮膚のバリア機能が向上させることが明らかになった。これらの味噌に含まれる乳酸菌のB細胞におけるIL-22やIL-10産生誘導能といった免疫制御機能は,味噌の健康増進効果の一端を担っていると考えられた。最新の味噌の機能性研究をご紹介いただいた。ぜひご一読願いたい。

  • 公益財団法人 日本醸造協会
    2021 年 116 巻 1 号 p. 27-29
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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  • 大森 大陸
    2021 年 116 巻 1 号 p. 30-33
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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  • 白石 洋平, 竹浦 澪, 奥津 果優, 吉﨑 由美子, 二神 泰基, 玉置 尚徳, 和久 豊, 髙峯 和則
    2021 年 116 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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    芋焼酎の製造に用いられている,黄麴,白麴,黒麴を用いて,麴以外はすべて同一条件で行い,芋焼酎における麴が違うことで生じる差異を検討した。 市販種麴を用いて作製した麴は,麴酸度は白麴および黒麴で高く,黄麴は非常に低い値であった。酵素活性ではAA活性は黄麴が白麴および黒麴と比較して非常に高い活性であったが,酸性条件下での液化に関与するAsAA活性は白麴および黒麴で黄麴の10倍の活性となった。白麴および黒麴ではBG活性,CEL活性,AP活性,LIP活性が黄麴よりも高い。白麴と黒麴の比較では,BG活性およびCEL活性以外の酵素活性は白麴が高い傾向を示した。 得られた麴を用いて小仕込みを行ったところ,各醪共に問題なく発酵が行われた。クエン酸生成能が高い白麴および黒麴醪のpHおよび醪酸度は黄麴醪と比べ,一次および二次醪共にpHは低く,酸度は高かった。黄麴醪では二次醪の初期に白麴および黒麴醪とは異なり,醪の流動性が低下した。黄麴は白麴および黒麴よりもAP活性およびCEL活性が低いことから,流動性に差異が生じ,醪のアルコール濃度も白麴および黒麴醪が高かった。また,AP活性の高い白麴および黒麴ではアミノ酸濃度は黄麴よりも高かった。一次醪末期の総アミノ酸濃度は黄麴醪が高く,二次醪末期では白麴および黒麴醪が高くなった。黄麴醪では一次醪から二次醪にかけて高級アルコール生成に関わるアミノ酸の減少が大きかった。醪中の有機酸は白麴および黒麴醪では麴由来のクエン酸濃度が高くなった。

  • 白石 洋平, 奥津 果優, 吉﨑 由美子, 二神 泰基, 玉置 尚徳, 和久 豊, 髙峯 和則
    2021 年 116 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/19
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    芋焼酎の製造に用いられている,黄麴,白麴,黒麴を用いて,麴以外はすべて同一条件で行い,芋焼酎における麴が違うことで生じる香気成分及び官能評価の差異を検討した。 GC-MSによる香気成分は,黄麴製では一般的な芋焼酎香気成分を基本として,高級アルコールおよび酢酸エチルエステル,含硫化合物含量が高かった。白麴および黒麴製は類似した傾向を示している中で,黄麴製よりもアルデヒド類,テルペン類が多かった。白麴製と黒麴製の比較では,全体的に白麴製のエステル類の香気成分濃度が高かった。その中で,DL-2-メチル酪酸エチルが黒麴製と比較して大きな差異のある成分であった。黒麴製は低級脂肪酸エステル類の濃度が白麴製よりも低く,中鎖脂肪酸エチルエステルでは同等であり,サリチル酸メチルの濃度が白麴製と大きく異なっていた。また,黒麴製では白麴製と比較して,1-オクテン-3-オールが高い結果となった。1-オクテン-3-オール濃度の麴での差異8)および全麴仕込みによる白麴および黒麴製の差異9)から,黒麴菌由来のひとつの特徴であると考えられた。芋焼酎における白麴製と黒麴製の香気成分はこれらの濃淡,重厚さに関与する成分によって違いが生み出されていることが明らかとなった。 官能評価では,黄麴製の香りは華やか,麴の香り,焼菓子,草やハーブ様と指摘された。白麴および黒麴製は,共通して果実様,ロースト,ナッツ様といったコメントが多かった。白麴製は軽快,シャープのコメントがあり,黒麴製はオイリー,まろやか,クリーム等のコメントが特徴的であった。味のコメントは香りと類似した傾向を示し,白麴製ではドライ,バランスといったコメントがみられるのに対し,黒麴製では芳醇,重厚といったコメントが得られた。どの焼酎がどの麴を用いたものであるかのブラインドテストにおいても概ね利き分けが出来ていることが認められた。これまで,酒質に与える麴の影響については経験的に述べられてきたが,本研究により,麴の違いによる芋焼酎の香味の特徴的な表現が明らかとなった。

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