日本醸造協会誌
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ワイン用酵母発酵助成剤が清酒醸造に及ぼす影響(第1報)−添加による酒質への影響−
飯塚 幸子神田 涼子寺本 聡子藤田 晃子山田 修
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2021 年 116 巻 9 号 p. 641-653

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抄録

ワイン用の酵母発酵助成剤であるStimula Sauvignon BlancとOptimum Whiteを添加した清酒醸造試験を行うことにより,酵母発酵助成剤の添加が清酒醸造に及ぼす影響を調べた。一段仕込による清酒醸造試験では,用いた酵母の種類にかかわらず,酵母発酵助成剤の添加により発酵が促進され,原料利用率が向上したと考えられた。特にStimula Sauvignon Blancの添加により,ワイン酵母で清酒酵母と同程度のアルコール分となるまで発酵が進んだ。また,製成酒の香気成分は,Stimula Sauvignon Blancの添加した試験区で無添加の対照区よりも,酢酸イソアミルやカプロン酸エチルなどのエステル含量が高かった。三段仕込では,一段仕込ほど顕著な効果は認められなかったものの,製成酒の官能評価の結果,無添加の対照と同程度の高い評点が得られたことから,酵母発酵助成剤の添加は新たな特徴ある製品開発に有効な手段となる可能性があると考えられた。

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