日本釀造協會雜誌
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麹に海ける酵母の生態 (第3報)
製麹中の麹菌の増殖度の測定
大内 弘造石戸 輝雄菅間 誠之助野白 喜久雄
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1967 年 62 巻 9 号 p. 1029-1033

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抄録

製麹中の麹菌の増殖曲線を求める方法について検討した。菌体量を算出するために, グルコサミンを指標とする方法 (グルコサミン法) および核酸を指標とする方法 (核酸法) を用いた。グルコサミンは菌体濃縮の前処理をほどこした試料を塩酸分解し, 遊離したグルコサミンをDowex 50Wの樹脂に通して定量妨害物質から分画し, 比色定量する。塩酸分解の条件は, 4N塩酸で110℃, 5時間行なうのが最適であった。グルコサミンの回収率は約87%であったが, その値はかなり再現性が高く, したがって各種試料について求めたグルコサミン量も2回の測定値がよく一致している。液体培養麹菌体のグルコサミン含量は約110μg/mgであった。
核酸法は試料中の核酸類を0.5N過塩素酸と加熱して抽出し, その抽出液の260mμ の吸光度から菌体量を算出するものである。核酸法で算出した値はグルコサミン法のそれよりも大きい値を示したが, 両老の値はほぼ平行しているので, 核酸法も簡便法として利用することができる。
製麹中の麹菌の増殖曲線を描き, 製麹中の酵母の増殖曲線と対比し, 麹菌が急速に増殖を開始する時期に酵母の増殖が停止することを明らかにすることができた。

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