日本醸造協会誌
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芋焼酎の酒質に及ぼすサツマイモ品種の影響と特徴香成分の検索
神渡 巧瀬戸口 眞治上田 次郎瀬戸口 智子緒方 新一郎
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2006 年 101 巻 6 号 p. 437-445

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抄録

8種類のサツマイモを原料として芋焼酎の製造を行い, 種類の違いによる酒質の特性を明らかにするとともに, その酒質に及ぼす特徴香成分の検索を行った。
1.サツマイモの種類によりデンプン価は大きく異なり, 最高と最低では約2倍の違いがみられた。またもろみのアルコール濃度もサツマイモのデンプン価と同じ傾向を示した。
2.紫系サツマイモを原料とした製品は, 甘酸っぱく, ヨーグルト的な風味を持つ酒質であり, その風味にジアセチルが大きく影響していた。
3.橙系サツマイモを用いた製品には加熱処理したニンジンやカボチャの香りが認められ, この香りは, β-イオノンに起因することを明らかにした。
4.リナロールは, ジアセチルやβ-イオノンと共存した場合, それらの特徴的な香りに影響を与えなかった。
5.ジョイホワイト製品の酒質は, さわやかな果実香を持つ軽快な香気を有し, この香気はモノテルペンアルコールの1種であるリナロールにより形成されていた。
6.β-ダマセノンは芋焼酎の特異成分であると共に, 芋焼酎の甘い香りに関与する重要な特徴香成分であることがわかった。

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