2017 年 57 巻 4 号 p. 59-62
Thoracic aorta mural thrombus(TAMT)による同時多発塞栓症の1例を経験した。TAMTは近位下行大動脈に多発性にあり,脳梗塞と上腸間膜動脈塞栓症を同時発症していた。緊急開腹手術壊死腸管切除の3週間後,オープンステントグラフト(OS)留置術を行い良好な結果を得た。症例はその後順調に経過し,脳梗塞の大きな後遺障害なく退院した。TAMTの治療指針は未だ確立していないが,文献的考察によると塞栓症再発は30%程度に認められ外科的介入を要する症例も多いが,大動脈弓部周辺のTAMTに対しては,TEVARが有効な治療手段となる。しかし,TEVARには手技による塞栓症の危惧があり,血栓の大きい症例などではOSは治療選択肢の一つとなりうる。