抄録
近年、エポキシ樹脂のような高分子材料にカーボンナノチューブ(CNT)をフィラーとして混入し、電界により配向させることで材料の特性を向上させる研究が活発に行われている。筆者らは、従来よりも大面積(一辺10cm以上)のCNT/エポキシ複合フィルムの作製を実現するために、並列接続した複数のワイヤ電極をアレイ状に配置した新しい電極系を提案した。また、同電極系を往復平行移動させることでCNTに作用する電界を空間的に平均化する手法を考案し、フィルム全体におけるCNTの均一配向を実現した。上記手法で作製した複合フィルムの熱伝導率を測定した結果、CNTが配向することにより熱伝導率が増加することがわかった。