日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
直腸カルチノイドの超音波内視鏡による深達度診断と切除術式決定に関する検討
本田 勇二三木 修関川 敬義松本 由朗江口 英雄
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 47 巻 1 号 p. 106-113

詳細
抄録
1989年より1991年までに経験した直腸カルチノイド8症例9病変について臨床病理学的に検討し,術前診断と治療方針について考察した.腫瘍径は2.0cmの1例以外すべて1cm以下であった.6例に術前超音波内視鏡(EUS)を施行し固有筋層(PM)上層浸潤疑いの1例と,ヘモクリップで深逹度診断が不可能であった1例以外,粘膜下層(SM)と診断した.リンパ節転移例は認めず,SMで腫瘍径2.0cmの症例に多発性肝転移を認めた.治療はEUS未施行例と深逹度不明例とPM上層浸潤疑い例に経仙骨式直腸局所切除術(局所切除)を施行し,肝転移例には局所切除と肝動脈cannulationを施行し,他のSM例には内視鏡的polypectomyを施行した.組織学的診断はpm上層浸潤例以外すべてsmであり,リンパ節転移はなく,EUS診断と全例一致し,EUSは術前の深逹度診断,壁在リンパ節転移診断に有用であると思われた.この結果EUSを始め術前診断を総合的に判断すれば,治療方針の決定が可能であると判断した.
著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top