2024 年 3 巻 1 号 p. 59-66
〈目的〉
高齢の大動脈解離Stanford A型(以下,TAAD)後患者の呼吸困難感に対して,上肢運動と呼吸療法を組み合わせた介入を行なった結果,呼吸機能が改善した一例を経験したため報告する.
〈方法〉
症例は身長143cm,体重47.8kg、年齢80歳代後半の女性であった.TAADの診断で緊急開胸術を施行された.術後13日目の最大握力は8.0kg,Peak cough flow(以下,PCF)は90L/minで,Medical Research Council(以下,MRC)は grade 5で,連続歩行距離は歩行器で40mであった.理学療法介入は術後1日目より開始し,離床プログラムや呼吸療法中心に進めた.術後14日目より低強度の上肢運動と呼吸療法の併用を開始した.
〈結果〉
術後54日目には最大握力が12.4kg,MRCはgrade 2と上肢筋力向上及び呼吸困難感が改善した.また、呼吸困難感が改善したことで,連続歩行距離は杖歩行で80mと運動耐容能が向上した.
〈結論〉
高齢のTAAD術後患者対して上肢運動と呼吸療法を併用することは呼吸困難感の改善に有効であった可能性が示唆された.