抄録
水稲栽培地域内に異なる発育ステージが混在することは冷温による被害程度を推定する上で問題となる.そこで,地域内の特定の発育ステージにある有効穂や穎花の存在割合を評価する手法を作成した.この手法は,地域内の個々の圃場における移植日の幅と,移植する苗の葉齢を基本とし,個々の圃場内の有効穂や穎花の発育ステージ変異と組み合わせることで,地域内の発育ステージの変異を推定するものである.この手法を1999年,2001年,2003年の青森県のアメダス地点のうち,青森,蟹田,五所川原,弘前,黒石,八戸,十和田,三沢,作柄表示地帯の青森地帯,津軽地帯,南部・下北地帯に適用し,実用性を検討した.出穂期の始期,盛期,終期の推定誤差は,1999年はアメダス指標地点の平均で2.4日,作柄表示地帯別で2.8日であった.冷害年である2003年はアメダス指標地点の平均で7.8日,作柄表示地帯別で6.5日でとくに太平洋側の地帯,地点では誤差が大きかったが,日本海側の津軽地帯および五所川原,弘前では推定精度が良かった.これは太平洋側の地帯,地点では冷害回避のため深水管理で水温を高く保ったため,出穂期が早くなったものと推察される.危険期間の冷却量を推定すると不稔歩合と一定の関係がみられた.この手法でその年度の地域内の発育ステージの変異の特徴を推定することができた.