日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
兵庫県における酒米品種の消化性と登熟期間の気温との関係
池上 勝礒野 幸浩藤本 啓之加藤 雅宣杉本 琢真髙橋 圭奥田 将生
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キーワード: 気温, 気象条件, 酒米, 消化性, 水稲, Brix
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2021 年 90 巻 4 号 p. 451-456

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抄録

兵庫県産酒米品種において,酒造り前に消化性の予測情報を提供することを目的に,酒米品種「山田錦」,「五百万石」,「兵庫北錦」および「杜氏の夢」 について,酒米の原料米統一分析法における消化性(Brix)と登熟期間の気温との関係を検討した.消化性は全ての品種で登熟期の気温と有意な強い負の相関が認められた.「山田錦」では,出穂後8日目(出穂期を1日目とする)~29日目までの22日間の最高気温と消化性との相関が最も強く,単回帰分析での決定係数は0.97,二乗平均平方根誤差は0.13であり,消化性の変動はほぼこの期間の最高気温の変動で説明できた.「五百万石」で最も強い相関が認められた気温条件とその相関係数は,それぞれ出穂後5日目~27日目までの23日間の最高気温で–0.908であり,「兵庫北錦」では出穂後11日目~22日目までの12日間の平均気温で–0.957,「杜氏の夢」では出穂後6日目~28日目までの23日間の最高気温で–0.892であった.これらの相関は,既報の出穂後30日間の平均気温と消化性との相関よりも強かった.また気温と消化性の回帰式から,「山田錦」の消化性について平年値との比較区分を提示した.

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© 2021 日本作物学会
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