日本作物学会紀事
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耕耘方法の相違と大型機械による土壌の踏圧が水稲の生育収量に及ぼす影響
飯田 周治新村 善男上森 晃久津那 浩三
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1990 年 59 巻 4 号 p. 672-678

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抄録
耕耘方法の相違や大型機械の土壌踏圧が作業能率, 土壌状態の変化, 水稲の生育収量に及ぼす影響について検討した。壌土質乾田で, 1) 小型ロータリ (耕耘機) 利用耕深12 cm区を標準にし, 2) 大型トラクタのロータリ利用耕深12 cm区, 3) 同プラウ利用耕深18 cm区, 4) 同ロータリ利用耕深18 cm区, 5), 6) 乾燥時と湿潤時に大型機械による踏圧を加えたあと, 同ロータリ耕深12 cmの乾燥踏圧区と湿潤踏圧区の計6区を設け, 品種マンリョウを供試して1978~1979年の2年間成苗の移植栽培を行った。圃場耕起にはロータリ耕が容易で, プラウ耕は作業行程で2倍, 作業時間で約5倍を要し, 田面の均平にかなりの困難を伴った。大型機械の0.3~0.4 kg/cm2の土壌踏圧による土壌のしまりの影響では, 土壌硬度, 土壌三相分布, 土壌圧密量の変化は少なく, 土壌透水量の減少が最も著しかった。水稲の生育や収量に及ぼす影響では, 水稲の生育や分けつ発生は1), 2) の小型ロータリや大型ロータリ利用の耕深12 cmと比較して, 4) 大型ロータリ耕深18 cm区, 次に5), 6) 乾燥踏圧区と湿潤踏圧区 (以下両踏圧区) の耕深12 cm 区か, 3) 大型プラウ耕深18 cm区が良好であった。収量調査の結果でも生育とほぼ同じ傾向で, 1) 小型ロータリ耕深12 cmの597~498 kg/10 aの収量水準に対して, 4) 大型ロータリ耕深18 cm区は114~111%, 5), 6) 両踏圧の耕深12 cm区が111~102%, 3) 大型プラウ耕深18 cm区が107~106%の収量比を示した。水田の圃場耕起にはプラウに比べロータリが有利であり, 土壌のしまりによる生育等への負の影響はなく, 水稲の収量は耕深の深い大型ロータリ耕深18 cm区が優った。
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