抄録
湿潤地域におけるダイズ作の阻害要因としては生育期における湿害とともに, 播種から出芽に至る期間の過湿条件によって種子が死滅する問題がある. そこでダイズ種子の冠水抵抗性(25℃で4日間水浸した後における発芽率), 吸水性および芽ばえの抽出力の品種間差と, それらの特性間の相互関係を検討した. ダイズ種子の冠水抵抗性は0(死滅)から100(無被害)までの大きな品種変異があり, 特に黒粒の抵抗性が強かった. 種子の吸水速度は品種間変異が認められ, 吸水速度と種子の冠水抵抗性の間に有意な関係はなかった. 種子の芽ばえの抽出力には品種間変異があったが, 抽出力と種子の冠水抵抗性の間に有意な関係はなかった. したがって, 種子の冠水抵抗性が高く, かつ抽出力が大きい品種を育成することは可能であると考えられる.