抄録
色彩属性のうち彩度と明度が触感判断に影響することを色彩とテクスチャーを継時提示する実験によって検討した.色刺激は有彩色の彩度系列2色と無彩色の明度系列3色を用い,触刺激は表面に微細な凹凸をもつ樹脂版3種類を用いた.粗滑感評定は「なめらかな-ざらざらした」の5段階尺度でおこない,刺激提示から粗滑感評定までに要した時間を測定した.刺激の提示は,(1)色刺激と触刺激それぞれの単独提示,(2)色刺激を見てから触刺激を触る継時提示の順とした.その結果,単独提示試行で,彩度と明度により粗滑感が喚起され,彩度あるいは明度の低さは粗さと有意に相関した.また“見てから触る”日常的な行為を想定した継時提示試行でも先行提示された色彩によって実際にテクスチャーを触った上での粗滑感の判断は影響を受けた.彩度系列では低彩度色によってテクスチャーの粗滑感はより粗い方向に判断され,明度系列の灰色と黒も同様であった.このような傾向とは逆に,高明度色によってテクスチャーの粗滑感はより滑らかな方向に判断された.