日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
コンピュータカラーマッチングを用いた循環不全状態の皮膚サンプルの改良
秋月 有紀大住 雅之
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 19-

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抄録

ショック状態や鬱血状態のような循環不全時には人間の皮膚色は変化するが,特にヘモグロビンの吸収に関与する500~600nmの範囲での分光反射率の変化が大きい.災害時を含めた救急医療ではこの皮膚色の変化を適切に把握することが必要であり,本研究ではそのための識別用光源の開発に向けて,皮膚サンプルの製作を試みている.本報告では,ウレタンを基材とした個々の顔料の分光反射特性のデータベースを作成し,コンピュータカラーマッチング(CCM)の手法を用いて顔料の調合比を算出して,実際の循環不全時の皮膚色と同じ分光反射率となる皮膚サンプルを作成した.顔料のデータベースは,12色の単色顔料,もしくは白色顔料と3 : 7で混合した二色顔料をウレタン基材に1, 3, 5%の濃度で混合し,反射率6.3%と89.4%の塗装面にそれぞれ200 μmの厚さで塗装したものを分光測色計CM-2600dで測定した結果で構成した.Kubelka-Munkの散乱吸収理論に基づく共著者が開発したCCMシステムを用い,実際の皮膚色の分光反射率との誤差が最小となり,かつそれとの色差⊿E*abが0に収束するような顔料調合比を算出した.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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