抄録
本研究の目的は,上肢下垂位と挙上位において握力の測定を行い,肢位による握力の変化率を算出することによってUCL損傷,TOSにおける差を検討することとした.対象は健常群,UCL損傷群,TOS群の3群とした.上肢下垂位,ABER位において握力を測定し,上肢下垂位を基準としABER位における握力の変化率を算出した.統計処理は変化率について3群間の比較を行った.
各群における変化率の平均は健常群が91.8%,UCL損傷群が93.0%,TOS群が77.0%であった.変化率についての3群間比較では健常群-TOS群間,UCL損傷群-TOS群間で有意差を認めた(P
< 0.05).TOS群が他の3群と比較して変化率が有意に低値であったことからABER位における握力計測がUCL損傷とTOSの鑑別診断の一助となる可能性が示唆された.