抄録
Fibroma of tendon sheathはGeschickter et al. が1949年に提唱した疾患で,WHO分類において良性の腫瘍と規定され腱鞘に接して生じる比較的稀な病変である.典型的に20-50歳台に生じ,手指の腱に好発する腫瘍である.今回肘関節周囲に生じた稀なfibroma of tendon sheathを経験した.症例は54歳女性,肘関節屈側に腫瘤を自覚し当科を受診した.神経血管と近接した腫瘍であり,腫瘍径は73mmに及び,大関節である肘関節屈側に生じるなどfibroma of tendon sheath としては非典型的な点が多く,切開生検で診断を行った.fibroma of tendon sheathの診断のもと,辺縁切除を行い術後12か月現在再発や神経障害などなく経過は良好である.非典型的な臨床像を呈した非常に稀な症例であり慎重な経過観察が必要と考えている.