日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
小児上腕骨内側上顆骨折の手術体位に関して
大塚 純子堀井 恵美子洪 淑貴
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 28 巻 2 号 p. 11-13

詳細
抄録

 骨折の治療で手術操作のしやすさや合併症を軽減するため,手術体位は一つの鍵であるが,小児上腕骨内側上顆骨折では一般的には仰臥位の報告が多い.当院でも以前は仰臥位で行ってきたが,最近は側臥位または腹臥位で行っている.仰臥位と側・腹臥位の体位の違いで治療成績に差があるか検討した.2009年1月から2020年2月までに手術加療を行った21例を対象とした.仰臥位は10例,側・腹臥位は11例で手術時間,手術室滞在時間,骨癒合の有無,手術合併症,最終経過観察時の肘関節可動域を調査した.手術時間は側・腹臥位では66分と仰臥位と比較して有意に手術時間は短かった.仰臥位では2例が偽関節となった.体位によるものも含めて手術合併症はなかった.肘関節可動域は伸展制限を若干残す症例もあったが両群ともに良好であった.側腹臥位は仰臥位と比較して手術時間が短く,整復操作が容易で手術成績の向上につながる可能性がある.

著者関連情報
© 2021 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top