2021 年 13 巻 1 号 p. 57-58
行動抑制ネットワーク仮説は,動物が環境に適した行動を発現すること,その行動にゆらぎが生じること,そして,動物が未知の環境で創発的行動を発現することを,動物行動学が取り組んできた行動の生得性の研究と干渉することなく説明する.また,このネットワークの動的維持機構は,“心(こころ)”という日本語から失われつつある“うら”という意味によく一致し,それらの現代社会における有用性をも含意する.本発表では,以上のような行動抑制ネットワーク仮説の性質を,日本語の“心”の語源研究と照らし合わせながら概説する.