心身健康科学
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原著論文
小学校第6学年児童の登校意欲に影響を与える生活実態
門田 美惠子吉田 浩子大東 俊一青木 清
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2012 年 8 巻 2 号 p. 150-159

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抄録

我が国において,小中学生の不登校は近年の大きな社会的課題のひとつである.本研究は,不登校傾向のある児童に対するより良い支援方法を構築するための実証的な手がかりを得ることを目的とした研究の一環である.本稿では,心身相関の視点から,児童の登校意欲と生活実態の関連について知ることを目的に,2010年9月および2011年6月に公立小学校第6学年児童計418名 (男子217人.女子201人) を対象に「睡眠,食事,家族関係,運動,娯楽,学校生活」について問う自記式質問紙を用いた集合調査を実施した (有効回答率91.6%).結果の分析から,回答者全体の10%の児童の登校意欲が低いことがわかった.彼らの登校意欲の程度と生活実態を示す7項目 (就寝時刻,睡眠時間,朝食摂取の有無,偏食の有無,家族関係,友人関係,学校生活) の関連を解析した結果,登校意欲が高い児童は良好な生活実態を示し,登校意欲が低い児童は生活習慣に改善の余地があることがわかった.さらに,「楽しい学校」「よく分かる授業」「良好な友人関係」と登校意欲との関連を実証的に示すことができた.
このような児童の客観的な実態を十分に吟味し,学校における指導・支援の体制を構築,不登校傾向のある児童の生活に積極的に介入することで,登校意欲のさらなる低減を防止することができると思われる.

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© 2012 日本心身健康科学会
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