日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: P10
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第55回大会:ポスター発表
発見・習得・活用の学習展開を取り入れた高等学校住生活分野の教材開発
高等学校家庭科教員による評価
*浅野 三奈永田 智子
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抄録
【目的】
  高等学校家庭科の住生活分野は、教員の知識不足や授業時間の確保が困難であることから、充分な授業が行われていない現状である。そのため、学習者も住生活分野の学習経験や知識の習得が充分でない。そこで、これらの諸問題を解決するために住生活分野のワークシートを作成し、授業実践と評価を行った。授業実践は2011年1~3月と2011年4~5月の計2回実施した。授業実践を通して生徒が、基礎的基本的な知識の習得ができ、学んだことを実生活へ活かそうとする態度を育むことができるなど、ワークシートの有効性が示唆された(浅野・永田、2011)。しかし、教員にとって使用しにくいワークシートでは、現場での汎用性に欠けてしまう。
そこで、高等学校家庭科教員を対象に、2回の授業実践を通し改善を加えたワークシートの評価を得ることとした。
【方法】
 ワークシートの評価に関するアンケートは質問紙郵送法で、2011年8月に実施した。対象は、兵庫県下の公立・市立・私立の高等学校家庭科教員とした。アンケートの配布枚数は216枚、回収枚数は72枚(有効回収率33.5%)だった。
【結果】
(1)学習構成についての評価
  「部屋」「家」「地域」の学習構成は、教科書の構成と違うため、教員から使用しにくいという評価を受けることが懸念された。しかし、質問項目の全てにおいて90%のプラス評価を得ることができた。
(2)学習展開についての評価
  「生徒の知識を深めることができる」や「授業を展開しやすい」の項目が特によい評価だった。「Ⅰ発見」や「Ⅲ活用」の場面で生徒が主体的に学習できるため知識を深められ、教員は学習展開があることで授業が行いやすくなるためだと考えられる。
(3)学習内容についての評価
 「学習項目は適切か」の項目では90%のプラス評価を得ることができ、ワークシートにおける学習項目が適切であったことが示唆された。しかし、「文字の大きさ」(マイナ評価41.7%)や「学習内容の難易度」(マイナス評価29.2%)などの項目は学校の特色や生徒の実態に左右され、マイナス評価がややみられた。
(4)鳥瞰図についての評価
  全体的にプラス評価が多く、住生活分野の学習において鳥瞰図は有効であることが分かった。ただ、「問題点」の設置個所が多いことや重複している箇所があるなどという意見があり、「問題点の設置数」(マイナス評価:16.7%)や「問題点の設置個所」(マイナス評価:25.0%)の項目は、マイナス意見がややみられた。
(5)ワークシートに期待できることについての評価
   「生徒に興味関心をもたせやすい」という項目や「生徒が主体的に学習することができる」という項目が高く評価された。しかし、現状の授業時間数とワークシートの設定時間との合致や教材の準備の手間という点では、マイナス評価が少しみられた。
(6)ワークシートの使用希望
   ワークシートの使用の希望とその理由をたずねたところ、88%の教員は「全て使用したい」「一部使用したい」と回答し、教員が使用したいと感じるワークシートであることが分かった。
【まとめ】
 学校の特色や生徒の実態などにより評価が左右したが、ほとんどの項目において8割以上のプラス評価を得ることができ、教員にとって使いやすいワークシートであることが示唆された。特に「生徒に興味・関心を持たせやすいか」という項目の評価が高かった。さらに、ワークシートを実際に授業で使用したいという教員も多く、鳥瞰図は住生活分野の学習を行いやすくすることが分かった。アンケートの結果を受け、今後は生徒の実態に合わせたワークシートの使用方法の提案等を行っていくことが課題である。 
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© 2012 日本家庭科教育学会
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