日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第56回大会・2013例会
セッションID: A2-3
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56回大会:口頭発表
食まるファイブによる食育がもたらす児童の意識・行動の変化
*森山 三千江本山 ひふみ
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キーワード: 食育, 意識, 行動
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抄録
1.目的
近年、不規則な食習慣や朝食欠食などによる生活習慣病が低年齢化し、小学校などで食育が盛んに行なわれている。また、低年齢の児童は食事を家族あるいは誰ととともに食べるかという共食形態が児童の自己効力感に影響を与え、学校生活の中で協調性や学力などにも違いが生じるという報告もされている。そこで、本研究では低年齢である児童にも分かりやすい食育の手法である「食まるファイブ」による食育を6年間通して受けた6年生の児童と受けていない6年生児童に自己効力感、食事習慣、家族との共食形態および食事歴調査を行い、食品の摂取頻度摂取量、食習慣や共食形態および自己効力感に差が生じるかどうか調べる事を目的とした。
2.方法
食まるファイブによる食育を6年間受けた知立西小学校6年生124名と受けていない同市内A小学校6年生75名を対象に食事習慣・家族との共食形態に関する14項目からなる質問紙調査を独自に作成し、セルフエフィカシ-(自己効力感)については10項目からなる児童用コンピテンス尺度(桜井 1992)を使用し、食生活や意識および自己効力感に違いが生じるかどうかを分析した。また食品の摂取頻度や摂取エネルギー量および栄養素摂取量についてはBDHQ10y(brief-type self-administered diet history questionnaire簡易型自記式食事歴法)を用いて両小学校の児童でこれらの結果に違いが有るかどうかを検討した。
3.結果および考察
食事習慣としては「野菜をたくさん食べる」、「家でコンビニ弁当を全く食べない」と答えた児童が知立西小学校の方が多く、その一方で「お菓子をよく食べる」と答えた児童はA小学校の方が多かった。生活習慣では「体を動かことが好き」と答えた児童が知立西小学校の方が多く、食習慣に関する意識や行動ついて6年間の食育がこのような変化をもたらしたと考えられた。また、自己効力感については、「今の自分に満足していますか」には知立西小学校の方が『はい』と答えた児童が多く、また逆転項目である「何をやってもうまく行かないような気がしますか」、「自分はあまり役に立たないと思いますか」、「自分にはあまり良い所がないと思いますか」については、知立西小学校の児童の方が『いいえ』と答えた児童が多かった。食事習慣と自己効力感の相関関係を見ると、男子では「野菜を食べない」と「何をやってもうまく行かないような気がする」の項目間、また「夜食を食べない」と「今の自分に満足している」あるいは「自分の意見を自信を持って言える」の項目間などで相関傾向が見られた。また女子では「食べている時間が楽しい」と「自分に自信がある」、「食事の手伝いを良くする」と「たいていの事は人よりうまく行く」のそれぞれの項目間で相関関係が見られた。このことから日頃の食習慣が児童の自己効力感に何らかの影響を与え、さらにそこから学力や日常生活の態度や集団行動での他者との関わり方などに影響を与えるのではないかと示唆された。BDHQの結果による食品摂取頻度では、知立西小学校の児童は男子・女子児童ともエネルギー摂取量および三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物および複数のビタミンやミネラルについても摂取量がA小学校の児童よりも多かった。体を動かす事が好きと答えた児童が多かったことと考え合わせると、摂取エネルギーは多いが運動でエネルギーをより消費し、健康的な生活を送っていると考えられる。この食習慣は将来の生活習慣病の予防にも繋がると考えられ、また、近年、増加している若年層の肥満問題にも解決策の一つにもなるのではないであろうか。食まるファイブを用いた継続的な食育は食習慣・意識のみならず運動習慣、さらには学力や集団内での行動にも何らかの影響を与えるのではないかと考えられる。
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© 2013 日本家庭科教育学会
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