日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第56回大会・2013例会
セッションID: A1-6
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56回大会:口頭発表
高校生のシティズンシップ意識について
*米澤 千尋
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抄録
【目的】
現代社会において若者は激しい社会変動の中で、社会的孤立に陥り、社会の一員としての自覚や自立の必要性が問われるようになってきている。 自立的な市民が自律的に生活できるようにすることは、家庭科の学習のねらいと一致する。そのためにも、近い将来社会に出ていく高校生が、自己の生活を見つめ、社会との接点を見出し、自立した生活を送れるようになることは必要なことといえる。そこで、家庭科においてシティズンシップ教育を進めるために、高校生がどのような意識を持っているかを明らかにすることを目的とした。シティズンシップ教育とは、市民一人ひとりが社会の一員として、地域や社会での課題を見つけその解決やサービス提供に関わることによって、急速に変化する社会の中でも自分を守ると同時に他者との適切な関係を築き、職に就いて豊かな生活を送り、個性を発揮し、自己実現を行い、更により良い社会づくりに参加・貢献する為に、必要な能力を身につけることと定義した。よって 本研究では、シティズンシップ育成に必要な能力を、次の7つのカテゴリーに分類した。1)自己管理力 2)生活設計力 3)人間関係形成力、連帯・協働 4)地域・社会活動に参画できる行動力・実践力 5)批判的思考力 6)政治的判断力 7)グリーンコンシューマ
現代の高校生がどのような意識を持っているのかを明らかにし、家庭科の指導を円滑に進めることの一資料としたいと考えた。  
【方法】
東京都内の高校生を対象に、2013年2月~3月にかけて、留置法によるアンケート調査を実施した。シティズンシップに関する意識を測定する66項目を設定し、4件法で回答させた。
【結果及び考察】
アンケート結果を平均値より検討してみると、2)生活設計力に属する質問項目の「将来、安定した収入を得たい」では平均値が3.37であり、多くの生徒が自分の将来について収入の面から考えていることが分かる。また「インターネットをよく利用する」では3.25という結果になった。これは昨今の情報化社会への急速な進行によるところも大きいと考えられるが、生徒一人ひとりの情報収集への柔軟性や情報リテラシーの高さが分かる。また6)政治的判断力では、「消費税を払うのは当然のことだと思う」で2.95、「20歳になったら、選挙に行きたいと思う」では2.55と、有権者として最低限の知識や態度の育成、また社会の常識やルール、法律を遵守する意識が備わっていることが分かる。また7)グリーンコンシューマに関する質問項目では、「スーパーなどで買い物をする時は、エコバッグを使うようにしている」の項目で1.50、「料理をする時は、出来るだけゴミが出ないように工夫している」では1.76という低い結果となった。しかし他の質問項目で7)グリーンコンシューマに属する「どこかへ移動する時は、電車やバスなどの公共交通機関を使うようにしている」では3.04、「好き嫌いをせず、残さず食べるようにしている」では2.90という高い結果となった。これは生徒が高校生であるという所属から考えると、前者の低い数値を記録した質問項目では高校生の日々の生活からは離れた内容の質問項目となっており、それとは逆に後者の質問項目の内容では高校生の日々の生活と密接に関係していると捉えられるので、こういった結果になったのではないかと考えられる。今回の調査では、高校生にとってある部分ではシティズンシップ意識が十分に備わっており、また質問項目によってはシティズンシップ意識の低さを表す結果も得られた。今後はそれらを複合的かつ総合的に分析・考察し、高校生が家庭科を通してシティズンシップ意識を獲得していくためにはどのようにしていけば良いのかについて、研究を進めていきたい。
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© 2013 日本家庭科教育学会
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