日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第61回大会/2018年例会
セッションID: A4-6
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「鹿内瑞子旧蔵資料」にみる小学校家庭科の展開
全国各地における教育実践に着目して
*八幡(谷口) 彩子
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抄録
研究目的
 演者は、日本の家政学史・家庭科教育史研究の一環として、戦後、文部省の教科調査官として小学校家庭科の教育課程行政に携わった鹿内瑞子氏の旧蔵資料を読み進めている。「鹿内瑞子旧蔵資料」は、昭和26(1951)年~昭和52(1977)年の小学校学習指導要領改訂までをほぼ網羅し、小学校家庭科に関する教育課程行政の検討に不可欠な資料を含んでいる。すでに昭和20~40年代における小学校家庭科をめぐる教育課程行政、へき地教育行政、施設・設備の充実施策等について検討を進めてきた。「鹿内瑞子旧蔵資料」には、昭和20年代~50年代の全国各地における小学校家庭科の教育実践資料が数多く含まれているが、これらについては充分な検討を行っていない。そこで、本研究では、「鹿内瑞子旧蔵資料」に含まれる全国各地の教育実践資料を取り上げ、戦後における小学校家庭科の展開過程の一端を明らかにすることを目的とする。
研究方法
 本研究では、国立教育政策研究所教育図書館所蔵「鹿内瑞子旧蔵資料」(1,139点)に含まれる全国各地の小学校家庭科の展開過程が把握できる資料のうち、これまでに発表した「へき地教育関連資料」、施設・設備の状況等に関するものを除く、教育実践や研究発表大会、授業研究会等の資料を主な資料とする。
結果と考察
(1)『鹿内瑞子旧蔵資料目録』によれば、「鹿内瑞子旧蔵資料」に含まれる全国各地における小学校家庭科関係資料は、①へき地教育に関するもの ②複式学級における学習指導に関するもの ③施設・設備の整備に関するもの ④小学校家庭科の存置や施設・設備の充実を求める請願書・陳情書 ⑤地方で開発された教科書・副読本・ワークブック・指導書等教材資料 ⑥全国各地で実施された教育課程等に関する研究発表大会、授業研究会等の資料 ⑦その他(書簡、地方行政の刊行資料等) に分類できる。このうち⑥全国各地で実施された教育課程等に関する研究発表大会等の資料は、昭和30年代以降のものが「鹿内瑞子旧蔵資料」に所蔵されている。
(2) 上記⑥のうち最も古い資料は、小学校児童の家庭科研究発表会の発表内容をまとめた埼玉県産業教育振興会小学校家庭部「わたくしたちの家庭科研究第一集」(昭和31年2月)である(資料No.1076)。また、岐阜県小学校家庭科研究協議会による「家庭科研究集録 題材の構成とその指導 1959年度」(資料No.379)は、学習指導要領改訂に対応する目的でまとめられた実践指導案集である。
(3) 昭和39年度より、全国小学校家庭科教育研究会が結成され、研究発表会の実施ならびに研究紀要の刊行を行っている。「鹿内瑞子旧蔵資料」に含まれる昭和41(1966)年2月7日・8日に開催された「第2回全国小学校家庭科教育研究会東京大会要項」(資料No.317)によれば、「ボタン付け、ほころび直しの評価」「整った身なりの評価」など7件の被服分野の評価に関する研究発表が行われている。翌昭和42(1967)年2月17日・18日には「第3回全国小学校家庭科教育研究発表横浜大会」(資料No.312)が初めて東京以外の地で開催され、2つの会場において、「実践的態度を高める学習指導法」をテーマとする10本の公開授業、「生活課題をとらえた学習指導法」をテーマとする9本の公開授業が全国ブロック別研究発表5本とともに公開され、10分科会における協議が実施された。全国小学校家庭科教育研究会では、小学校家庭科が抱える問題を解決するため、毎年度運動方針を設定している。「昭和45年度運動方針」(資料No.287)は、全国組織の拡充、研究大会の推進、調研活動の推進、広報活動の強化、渉外活動の活発化の5点であった。
参考文献:丸山剛史・左高美里・橋本昭彦(編集)『鹿内瑞子旧蔵資料目録(戦後教育改革資料19)』国立教育政策研究所(2006年)
本研究は、JSPS科研費17K00758の助成を受けたものである。
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© 2018 日本家庭科教育学会
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