フィンランドにおけるカリキュラム改訂後の家庭科の授業実践を明らかにするために, ヴァンター市, ヘルシンキ市の総合学校2校を訪れ, 授業見学, および家庭科教師へのインタビュー調査を行った. 明らかになった結果は, 以下の3点にまとめることができる.
1) ヴァンター市の総合学校では, 4年生から6年生の3学年において, 家庭科が選択科目として設けられ, 週2時間, 半年間の授業が実践されていた. 家庭科教師が工夫して授業計画を作成していた.
2) ヴァンター市の総合学校では, 4年生対象の教科横断的な事象ベースのテーマ学習である「Life Skill」に, 家庭科が参加していた.
3) ヘルシンキ市の総合学校では, 7年生において実践される必修家庭科の授業において, 少人数グループでの調理実習が行われていた. また, ヴァンター市の7年生向け必修家庭科の年間計画によると, 調理実習の頻度が高かった. 必修家庭科では, 改定後も学校現場では, 調理技能が重視されていることが明らかになった.