日本家政学会誌
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バタースポンジケーキの最大圧縮応力曲線の解析
川染 節江石間 紀男山野 善正
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1990 年 41 巻 5 号 p. 413-419

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抄録

バタースポンジケーキの連続圧縮試験の結果に対し, そのレオロジー的特性を示す実験式を導いた.すなわち, 毎回の圧縮で得る応力の最大値を結ぶ曲線を「最大圧縮応力曲線」とよび, 数式モデルを最小二乗法により統計的に求め, その後理論的な解釈を試み, パラメータの値と官能評価とを比較した.
(1) 最大圧縮応力曲線は, 試料および圧縮部位により形状が異なるが, 圧縮回数が増大するほど圧縮応力は指数関数的に低下した.
(2) 最大圧縮応力 (y) と圧縮回数 (n) との関係式として求めた, y=AnceBnが実験値との適合性がきわめて高かった.パラメータAは「硬さ」, Bは「変形のしやすさ (もろさ, 砕けやすさ) 」, Cは「変形に対する抵抗性 (変形回復力, しっとりさ) 」であると解釈できる.
(3) Aは, バター添加量80%で総じて低い値を示した.Bは, バター添加量0%で最低値を示し, バター添加量の増大に伴い値が大きくなり, 試料は変形しやすくなった.CBと逆の傾向を示し, バター添加量の増大に伴い値は低下し, 変形回復力が弱くなることが示され, バター添加によりスポンジケーキのもろさや砕けやすさを増すことが理論的に説明できた.
(4) 官能評価は, バター添加量80%の試料が最も良かった.この試料のパラメータの値は, Aが低く, B, Cは中間であり, レオロジー的には, 硬さはやわらかめで, もろさ, 砕けやすさおよびしっとりさは中程度であることを示している.

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