日本家政学会誌
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日本とフランスにおけるおいしさの評価基準の比較
東京とストラスブール, レンヌの場合
畑江 敬子中谷 圭子福留 奈美島田 淳子
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1996 年 47 巻 10 号 p. 997-1007

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抄録
日本とフランスの食文化を比較研究するための一つの方法として, 食物のおいしさの評価基準の違いを客観的に表すことを試みた.20の食物と, その食味を説明する5~8の語句からなるアンケート用紙を作成した.この語句はおいしさを構成する5要因, すなわち味, におい, テクスチャー, 温度および外観を含む.東京およびストラスブールとレンヌのパネルは, 20の食物の食味にどの語句が重要であるか, 好きなだけ順位をつけた.日本とフランスのパネルが1位に選択した語句の分布は有意に異なっていた.数量化理論第2類によれば, 日本人とフランス人は84%以上の高い的中率で判別することができた.このことは, 日本人とフランス人は食物のおいしさに要求する要因の選択パターンが異なり, おいしさの評価基準が異なることを示し, それが日本とフランスの食文化の違いの一つの現れと考えられた.
調査にご協力いただいた, 埼玉大学助教授川嶋かほる先生, レンヌ在住の雨宮裕子氏に謝意を表する.本研究は (財) 味の素食の文化センター食文化研究助成の支援二を受けた.
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