抄録
近年の医療技術の進歩により、高齢化が進んでいるが、平成20年度より、特定健診、特定保健指導が始まり、さらに国民の健康に対する関心は高まっている。
その健康の一端を担っている我々健診施設は、顧客のために、よりよい受診環境の整備が使命であり、それによる顧客満足度の向上が課題である。
我々は、貴重な時間を顧客からいただいて総合健診を実施していることを認識する必要がある。その時間的負担である健診における施設滞在時間は、当施設では約70%が検査の待ち時間であった。待ち時間の短縮策を検討すれば顧客の時間的負担の軽減につながり、顧客満足度に寄与できるのではないかと考えて分析を行った。
その結果、各検査部署では、検査所要時間の短縮に努め、さらに優先的に待ち人数の少ない検査部署へ受診者を誘導することで、全体の待ち時間が短縮した。これらの取り組みにより顧客の時間的負担の軽減は認められたが、新たな問題点も判明した。早い人はより早く、遅い人はより遅くなるという時間的負担の二極化現象である。また、検査所要時間の短縮を意識するあまり、接遇面の対応の低下へつながる可能性もある。さらに、受診者の動線も一定でないため、複雑かつ動的負担がかかることも事実である。
顧客満足度の向上において、時間的負担の軽減は重要な要素の一つであるが、当日の接遇及び動線も考慮してその環境を整備していくことも併せて必要である。さらに、待ち時間の短縮のみならず、待ち時間の有効活用の検討をする必要があり、退屈で嫌な時間からリラックスできる時間へと変えていく取り組みも今後の課題と考える。
今後、我々総合健診施設は、常に顧客が求めているものは何かを念頭に置き、ニーズを正確に把握し、新しい総合健診受診スタイルを創造していき、顧客から選んでいただける真の優良総合健診施設となる必要がある。