総合健診
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日本総合健診医学会 第40回大会
日本総合健診医学会 第40回大会・教育講演1
肺がん検診の最近の動向と課題
-がん対策推進計画を着実に実行するために-
江口 研二
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 39 巻 6 号 p. 759-763

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抄録

 がん検診では対策型検診と任意型検診とのあり方の違いを認識する。集団検診すなわち対策型検診では、当該検診を実施することにより、その有効性(対象集団の当該がん腫による死亡率が有意に低減すること)を検証された検診方法を用いる。現行の胸部写真による肺がん検診は、相応のエビデンスがあり、日本肺癌学会の肺癌診療ガイドラインでも精度管理水準を遵守した胸部写真による集団検診を推奨している。日本で生まれた低線量CT検診による肺がん検診については、2011年に米国の大規模無作為化割付比較試験(NLST研究)でCT検診群の肺がんによる死亡率が対照群に比べ20%低減することが報告された。国際肺癌学会(IASLC)は、現状で対策型検診への導入は時期尚早であるとしている。そして今後の低線量CTによる肺がん検診の方向性について、高リスク群の選別、適切な検診間隔、鑑別診断、確定診断、精度管理などの課題解決を速やかに進めることを声明とした。本邦でもNPO法人によるCT検診の認定医師・認定技師の資格制度が開始され、任意型検診として実施されている低線量CTによる肺がん検診の精度を向上させることが行われている。

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© 2012 一般社団法人 日本総合健診医学会
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