総合健診
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総合健診と予防医学的根拠
糖尿病の臨床診断
三家 登喜夫
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 42 巻 2 号 p. 293-300

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抄録
 糖尿病とは、「インスリン作用不足により持続的な高血糖をきたした状態」であり、放置すると様々な慢性合併症を引き起こす疾患である。この患者数はいまだ増加の一途をたどっており、大きな社会問題となっている。したがって、健康診断などにより積極的に糖尿病を診断することの意義は大きい。本稿では、糖尿病の臨床診断に関して以下のように日本糖尿病学会の考え方を中心に述べた。
 糖尿病を診断するためには「持続する高血糖」の存在を明らかにすることである。そのための重要な検査として血糖値(①空腹時血糖値:126mg/dL以上、②随時血糖値:200mg/dL以上、③75gOGTTにおける血糖2時間値:200mg/dL以上)とHbA1c値(6.5%以上)がある。上記の血糖値のいずれかあるいはHbA1c値が判定基準を満たした場合「糖尿病型」とし、初回検査に加えて別の日に行った検査で、糖尿病型が再確認できれば「糖尿病」と診断できる。ただし、2回の検査のいずれかに血糖値による検査が含まれていることが必須である。ただし、血糖値とHbA1cとを同時測定し、いずれもが糖尿病型であれば、1回の検査のみで「糖尿病」と診断できる。また、血糖値が「糖尿病型」を示し、かつ糖尿病の典型的な臨床症状認められるかあるいは確実な糖尿病網膜症が存在すれば、1回の検査だけでも「糖尿病」と診断できる。
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© 2015 一般社団法人 日本総合健診医学会
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