総合健診
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原著
人間ドックの心臓超音波検査の選択における新たな取り組み
松下 瑞季渡辺 あすは草薙 千晶君塚 郁代坂本 和代小泉 周子村上 雅美東野 紀子竹澤 三代子岡田 純小林 清典
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2015 年 42 巻 5 号 p. 492-499

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抄録

【目的】心疾患は、日本人の死亡原因の第二位である。また、突然死の原因は心疾患が最も多く、中でも虚血性心疾患が多数を占める。心臓超音波検査(心エコー検査)は非侵襲的であり、簡便に、短時間で行えるため受診者の負担も少なく、利便性が高い。そこで、人間ドックのオプション検査である心エコー検査について新たな取り組みを開始し、検査件数増加や診断精度の向上につながるか検討した。
【対象・方法】2013年4月から2014年12月までのドック受診者2,666名を対象とした。従来、心エコー検査は、受診者が希望する場合のみ行っていた(以下希望群)。2013年度からの取り組みとして、希望群に加え、診察時の心雑音聴取、心電図や胸部X線などの所見より、医師が心エコー検査の必要性ありと判断した場合、受診者に検査を推奨、希望された場合に施行した(以下追加群)。また、検査の報告書には実施理由を明記した。
【結果】ドック受診者の心エコー検査割合は、2010~2012年度は全受診者数の8~9%と横ばいであったが、2013年4月~2014年12月は12.8%と増加した。心エコー検査を受けた341名の内訳は、希望群256名、追加群85名であった。追加群の理由で最も多かったのは心雑音で60.0%であった。要精密検査・要治療判定率は、追加群は21.2%で、希望群の8.6%より高率であった。要精密検査判定では、大動脈弁閉鎖不全症が最も多くみられた。追加群では左房粘液腫も発見された。要精密検査・要治療判定となった受診者の精密検査受診率は、希望群63.6%、追加群55.6%であった。
【結語】心エコー検査に対する新たな取り組みを行った結果、検査件数の増加が見られ、より緊急性の高い症例も発見された。綿密な診察および検査体制を整備することは、受診者利益につながると考える。

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© 2015 一般社団法人 日本総合健診医学会
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