総合健診
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原著
特定健診標準的質問票を評価基準とした身体活動量と健診データの対比
─病院に併設する運動教室開設に向けた検討─
山﨑 敦史柳瀬 愛弘中 雅美庄田 圭佑田中 真理子鈴木 正臣川本 周司藤澤 大松山 眞由美瀬川 昻生豊田 澄男
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2017 年 44 巻 5 号 p. 613-619

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抄録

【目的】当院は、生活習慣病の予防・改善、ロコモティブシンドローム予防を目的として運動教室開設準備を進めている。目的に即していて、かつ効果が上がる教室とするにはどのような運動が適切かを検討するためにこの研究を行った。
【対象並びに方法】対象は、2012年10月1日から2016年7月31日までに、当センターにおいて特定健診の検査項目を満たす健診を受診して、特定健康診査の標準的な質問票が記入された13,697人(男性7,860人、女性5,837人)である。
【方法】質問項目の「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している」と記されている運動習慣に関する質問、および「日常生活において歩行又は同等の身体活動を1日1時間以上実施している」の各々に対する回答、「①はい」、「②いいえ」の2群について、特定健診で採用されている身体計測値(腹囲、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧)および血液検査値(グルコース、HbA1c、ALT、AST、γ-GTP、LDL-C、HDL-C、中性脂肪)値の平均±SDを算出して「はい」、「いいえ」2群間の差をt-testにて検定した。
【結果】身体計測値:質問票で評価した運動実施群(n=2,518)では未実施群(n=11,179)よりBMIと収縮期血圧と拡張期血圧が高値であり両群間の差は推計学的に有意であった。身体活動実施群(n=4,901)では腹囲、BMIおよび拡張期血圧が未実施群(n=8,777)より低値であり、両群間の差は推計学的に有意であった。
 血液検査値:運動実施群ではグルコース、ALT、AST、HDL-Cが未実施群より高値であり、両群間の差は推計学的に有意であった。γ-GTPは実施群で低値であった。身体活動実施群において未実施群よりグルコース、γ-GTP、LDL-C、および中性脂肪が低値で、HDL-Cは実施群で高値であり、両群間の差は推計学的に有意であった。
【結語】メタボリック症候群の予防、治療に有用である運動療法は科学的な根拠に基づき行うことが求められる。そのために行った健診データを用いて行った検討で運動療法に有用な若干の知見が得られた。

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© 2017 一般社団法人 日本総合健診医学会
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