抄録
特定保健指導における積極的支援対象者を対象に、支援介入前後に標準的な質問票で回答した生活習慣の変化が、減量に及ぼした影響を明らかにすることを目的とした。対象は平成23年と平成24年の各々4月から翌年の3月までの間、特定健康診査(特定健診)を受診し、積極的支援に分類され、かつ、保健指導を完了した155施設の男性4,318人、女性810人とした。3%以上減量の有無をアウトカムとして検討した。
3%以上減量した者の割合(減量達成率)は、男性32.3%、女性39.6%であった。生活習慣について、悪い習慣を維持した者、悪い習慣を改善した者、良い習慣を維持した者、良い習慣を悪化させた者のどの集団においても、3%以上減量した者の割合は2割以上であった。このうち、介入前から持っていた悪い習慣の改善が3%以上の減量と有意に関連した項目は、男性で「夕食後に間食や夜食を摂る習慣」オッズ比(OR):2.01(95%信頼区間:1.42-2.84)、「1回30分以上の軽く汗をかく運動習慣」OR: 1.70(1.41-2.07)、「人と比較した食べる速度」OR: 1.55(1.23-1.97)、「ハイリスク飲酒習慣」OR: 1.52(1.06-2.19)、「1日1時間以上の歩行または身体活動」OR: 1.32(1.10-1.58)であった。女性では「朝食欠食の習慣」OR: 2.56(1.14-5.73)、「1回30分以上の軽く汗をかく運動習慣」OR: 1.72(1.15-2.56)であった。また、年齢・BMI・喫煙習慣・ハイリスク飲酒習慣の要因を調整しても同等の結果が得られた。
以上から、積極的支援を完了し得た者の集団では、一定の減量効果が認められ、その上で生活習慣に関する具体的な改善があると、さらに減量効果が高まる傾向が認められた。