総合健診
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原著
過去30年間における静岡県西部地区企業検診を主体とした大腸がん検診219,178例から得られた知見の報告
中安 小百合秋山 真一神麻 志乃岡本 有加
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2018 年 45 巻 2 号 p. 382-388

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抄録
 当院は1986年、胃腸科・肛門科の専門病院として浜松に開設され、昭和63年より静岡県西部地区の企業を対象とした便潜血検査による大腸がん検診を開始した。企業検診の流れとしては検診自体を組織化し、保険組合との打ち合わせにより、年間実施者数を決定している。登録者には、当施設から採便容器の発送を行い、受診者は採便後、直接、当院に返送するシステムをとっている。一次検診結果は個人ごとに返送し、陽性者は当院から「呼び出し」を行い全大腸内視鏡検査を実施している。この二次精検により経過観察、治療方針等を検討し、個別に報告を行っている。これらの詳細は年一回、検診事業報告会を開催し保険組合等に報告し、大腸がん検診の啓蒙に努めて30年間が経過した。今回、これまでの企業検診の診療実績と検診実績から早期がんと進行がん成績をまとめた結果、40歳以下の若年層の企業検診者のがん発生率が増加傾向であることが示唆された。また、主な手術の日数と費用について、検証すると医療費の負担の意味からも大腸がん検診の有用性が明らかとなった。
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© 2018 一般社団法人 日本総合健診医学会
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