2020 年 47 巻 2 号 p. 352-356
高血圧治療ガイドライン2014では診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧を優先するとされ家庭血圧測定は高血圧患者にとり必須といえる。高血圧患者における家庭血圧測定の現状を把握し、併せて高血圧基準についての理解度を評価するために、アンケート調査を行った。2018年6月と7月に当センターを受診した高血圧治療中の患者510(男240、女260、不明10)名、(30歳代0.4、40歳代7.1、50歳代17.8、60歳代39.2、70歳代28.0、80歳代3.5、90歳代0.4%)に対し、問診時にアンケートを配布し、検診終了後に回収した。医師による家庭血圧測定の推奨については、有り72.7、無24.5%、家庭血圧計保有状況は、有り92.3、無5.3%、保有血圧計の種類については、上腕のみ78.6、手首のみ14.7%、両方3.5%。測定頻度については、毎日29.8、週に1~2回15.1、週に3~4回14.7、月に数回19.2、年に数回・測定せず14.3%、測定時の体位については、座位75.5、仰臥位6.0%、測定時刻は朝・夜27.3、朝のみ32.5、夜のみ5.5、決まっていない19.2%、測定前安静時間は、有62.0、無18.6%、1機会の測定回数:1回18.8、2回44.1、1回か2回9.6、3回6.0、4回以上0.6%、記載する測定値は、すべて19.6、最初の値32.0、最後の値6.9、平均値18.2、低い方13.9、高い方2.7%。高血圧基準の理解度は、診療所収縮期140mmHg以上26.0、診療所拡張期90以上25.9%、家庭血圧収縮期135以上15.4、家庭血圧拡張期85以上20.2%であった。4人に1人は医師から家庭血圧測定を勧められていないと認識していた。月に数回のみの測定、および、年に数回・測定せず、の割合は33.5%であった。高血圧基準の正しい理解は、特に家庭血圧において不十分であった。約3分の1を占める、ほとんど家庭血圧を測定していない高血圧患者に対する啓蒙が重要であると考えられた。