総合健診
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原著
運動習慣を持つ高齢女性のロコモティブシンドロームの実態
坂手 誠治
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キーワード: 女性, 痛み, 運動習慣
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 47 巻 2 号 p. 345-351

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抄録

【目的】運動習慣を持つ高齢女性のロコモティブシンドローム(ロコモ)の実態を、全国値との比較から明らかにする。

【方法】対象は、神奈川県内数か所で実施したロコモ測定会の参加者のうち、週1回以上の定期的な運動習慣を持つ女性117名(64-88歳、74.4±4.8歳)とした。

【結果】ロコモ度判定の結果では、ロコモ度1(LS-1)の該当率は、ロコモ25による結果を除き、全国値よりも有意に低かった。ロコモ度2(LS-2)の該当率では、すべての測定項目で全国値よりも低かった。運動実施頻度とLSの該当の有無には、いずれも有意な関連は認められなかった。ロコモ25における回答より、運動習慣を持つ高齢女性において、LS-1の該当者では、痛み、移動動作に困難を感じる者が含まれていた。LS-2の該当者では、日常生活の多くの動作に困難を感じている者が含まれていることが明らかとなった。

【まとめ】運動習慣を持つ高齢女性では、ロコモ度テストからみた身体能力については高い傾向であった。以上の結果より、少なくとも週1回以上の定期的な運動習慣は、高齢女性の立つ、歩くといった機能に対して有効であることが示唆された。しかし、ロコモに該当する者の中には、痛みや将来の不安などを感じながら運動を実施している者が一定数含まれていることが明らかとなった。今後、地域の資源の活用や連携を進め、さらなる悪化を防ぐとともに、運動を継続していくための支援が必要である。

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© 2020 一般社団法人 日本総合健診医学会
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