2023 年 50 巻 6 号 p. 583-591
健康診断の心電図検査では、自動診断機能を有した心電計が用いられることが多い。その診断としてミネソタコードが利用される。冠動脈疾患、心筋症などでQ波が現れやすく、臨床現場では重要視される。健康診断ではそのような症例は数少なく、むしろ生理学的・位置変化によるQ波のほうが多い。病的な場合は関連する複数誘導でQ波が出現しやすい。ミネソタコードは単一誘導でのQ波のみの所見であるため、偽陽性が多くなる。したがって、Q波に関するコード別に重症度の評価を行うことは限界がある。本稿では健康診断における心電図自動診断の課題、とくにQ波と、ミネソタコードで定められている両立しないコードについてとりあげ、心電図自動診断の観点からの対策について報告する。