総合健診
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原著
12誘導心電図から心房細動発症を予測するAIの臨床的有効性についての検討
竹内 真樹御宿 義勝荷見 映理子藤生 克仁森 祐貴
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ジャーナル オープンアクセス

2026 年 53 巻 2 号 p. 330-339

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抄録

【目的】心房細動(atrial fibrillation,AF)は脳梗塞、心不全や死亡のリスクを増加させることから、早期の診断と抗凝固療法の導入が必要となるが、AFは無症状のことも多く、早期発見が難しい。そこで、本研究は日本人を対象とし、AFの早期発見のため非発作時の心電図から発作性AFをスクリーニングするための人工知能(artificial intelligence,AI)開発を行い、本AIの臨床の場における有効性について検証することを目的とした。

【方法】2000年から2019年までに12誘導心電図検査を受けた成人患者(総数30,467人、うちAF症例数3,528人)を対象とした後ろ向きコホートデータを用いてAFの発症リスクを予想するAIモデルを開発、汎化性能評価を行った。また、AFを発症する前状態(Pre-AF)である症例が有する心電図所見、並びに、AIが予測の根拠としている心電図所見について解析を行った。加えて、AIの臨床的効果の評価のため、未診断の集団におけるAIの効果に対するシミュレーションを行った。

【結果】AIの汎化性能評価結果は、特異度95.66%・感度44.03%であった。所見分析では、AIが高リスクと判定し、実際にPre-AFであった症例ではST-T異常が最も多く(15.5%)認められた。また、日本国内における40歳以上の健診受診者に対して本AIを適用することで、9,554人/年の脳梗塞の発症を予防できる可能性がシミュレーションにより示唆された。

【結論】日本人を対象として、非発作時の心電図波形から包括的にAF発症リスクを予測するAIの開発を行い実用に足る精度が得られた。また、複数の心電図異常所見がAF発症に影響を与え、かつAIもまた複数の心電図異常所見に基づいてAFに対するリスク判定を行っていることが示唆された。さらに、未診断の母集団においてシミュレーションを行ったところ、本AIはAFのスクリーニングにおいて有効である可能性が示唆された。

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